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学部・大学院

上部消化管外科学

現在の研究テーマ

切除不能進行再発食道癌に対する免疫化学療法および免疫併用療法の効果予測バイオマーカー探索研究

切除不能進行再発食道癌に対する免疫療法と化学療法の併用療法(FP+Nivolmab or Pembrolizmab)および免疫併用療法Ipilimumab+Nivolmabが保険収載され、これらの患者さんに対する治療戦略が大きく変わることとなりました。一方で、これら免疫療法の治療効果や有害事象の発生は予測できない状態であり、適正な治療法の選択ができていないのが現状です。そこで、多施設共同でのこれら複合免疫療法の治療効果・有害事象の予測マーカー探索の研究を行っています。
その他にもNivolumabによる術後補助療法の観察研究など、免疫療法に関する研究が現在進行中であり、今後も新たな知見が産まれることが期待されます。

食道癌術前化学療法時の新規支持療法の開発

食道がん患者の身体機能・呼吸筋力・嚥下機能・認知機能などのデータをAIやMR(Mixed Reality)を用いて網羅的に収集し、化学療法・手術前後の変化や合併症、長期的なHRQOLや予後との関連を研究し、よりよいがん治療に向けた支持療法の開発を行います。
下記の研究は、リハビリテーション学部、当大学の耳鼻咽喉科頭頚部外科、リハビリテーション科などと共同での研究を行っています。

①食道癌患者における多面的機能評価を用いたコホート研究:
食道癌の治療に関連する合併症には、筋力や体力の低下が関わっていることが知られています。しかし、呼吸筋力、舌の筋力、飲み込みの機能、心理面、認知機能などを含んだ多くの情報から患者さんの状態を把握することはできておらず、手術後の生活や社会復帰するまでの長期間の変化もあまりよくわかっていません。これらの情報が集めることで、より良い治療への糸口になると考えています。舌の筋力がサルコペニア、嚥下スコアと関連することが報告されました。

②食道癌術前化学療法中の呼気トレーニングの有用性を検討する多施設共同ランダム化比較試験:
食道癌の術後肺炎は、頻度が高く時に致命的となる重篤な合併症です。長期的なQOLや予後に関連することが報告されるなど重要な課題となっています。術後肺炎を予防する有効な対策は現時点ではく、我々は食道癌術後肺炎の発症予防に風船を用いた呼気筋力トレーニングを中心とした新たなリハビリを考案し、大阪大学との多施設共同ランダム化比較試験を実施中です。本研究で食道癌手術の安全性向上に重要な知見を示すことができると考えています。

③食道癌化学療法中のグミ摂取による口腔・嚥下機能改善に向けた探索的研究:
食道癌は、嚥下機能や口腔機能の低下を来すことが知られています。しかし、具体的に咀嚼力や舌の筋力の低下を来しているのかがわかっておらず、咬合圧による咀嚼筋力や舌圧、唾液の量を明らかにすることでより良い治療法が確立、QOLの向上が期待できるのではないかと考えています。

④食道がん患者の就労支援に向けたアンケート調査:
昨今、がんとの共生が広く叫ばれており生活機能のみならず就労を含む社会機能を再建することは、がん領域の重要な課題の一つとされています。本邦のがん対策推進基本計画においては、充実したがんサバイバーシップの実現に向けた就労支援の構築が課題として挙げられていますが、がん患者の就労状況に関する詳細なデータは不足しています。特に食道がんにおいては極めて乏しい現状にあります。そこで本研究は、食道がん患者の就労状況とその関連要因を明らかにすることで、就労に着眼した理学療法学的の介入と就労復帰をめざしています。
【業績】
科研費 基盤(B)「食道がんサバイバーに対するAIシステムを融合した新たな運動腫瘍学的治療戦略の創造」リハビリテーション学部 助教 福島卓也
科研費 基盤(C)「食道癌集学的治療における新規支持療法の開発」上部消化管外科 教授 山﨑誠
T Fukushima,M Yamasaki, BMJ Supportive & Palliative Care, 2024

MRIを用いた食道癌の新たな診断モデルの構築

食道癌における壁深達度診断の世界的標準モダリティはCT検査であるが、層構造の判定が難しいため診断は極めて難しいことが臨床的に問題となっています。心呼吸同期と画像精度が飛躍的に向上した3.0テスラMRIの登場により、その存在価値は高まっており、本研究ではMRIの診断および腫瘍悪性度評価の有用性を多施設前向き研究で明らかにすることを目的とします。
T Harino, M Yamasaki. Esophagus, 2023

患者由来の腫瘍細胞培養(オルガノイド)を用いた免疫チェックポイント阻害薬の感受性予測モデル

食道癌患者さんから採取した腫瘍細胞(オルガノイド培養)と、採血から抽出したリンパ球との共培養モデルを作成し、免疫チェックポイント阻害薬の感受性試験に病理学部と共同で取り組んでいます。実際の患者さんの細胞で免疫治療の効果予測ができる画期的な研究です。
【業績】
対がん協会助成金2024「食道癌オルガノイドを用いた免疫治療の効果予測と免疫応答の解明」 上部消化管外科 助教 張野誉史

胃癌診療の質と治療成績の向上を目的とした多施設共同臨床研究

胃癌患者さんに元気な体に戻っていただくために、胃癌診療の質と治療成績の向上を目指しています。そのために薬物療法と外科手術を組み合わせた集学的治療の開発や術後後遺症に対する治療方法の開発を多施設共同臨床研究で行っています。また、手術できないほど進行した胃癌患者さんや再発した胃癌患者さんに対しても、免疫チェックポイント阻害薬などの新規化学療法薬剤の開発を関西医科大学附属病院がんセンターと一緒に多国籍多施設共同臨床研究で行っています。

肥満・糖尿病に対する減量・代謝改善手術の開発

食生活の欧米化や社会的ストレスの増加に伴い日本でも肥満割合は増加傾向にあります。そして、肥満による糖尿病も増加傾向です。日本ではあまり知られていませんが、肥満や糖尿病に対する手術があります。腹腔鏡下スリーブ状胃切除やスリーブバイパス術などの減量・代謝改善手術です。関西医科大学附属病院は日本肥満症治療学会の肥満症外科手術認定施設になっており、安全かつ効果的な減量・代謝改善手術を実施するとともに、多施設共同研究でより有効な減量・代謝改善手術を開発するための研究を行っています。

手術シミュレーション方法の開発

関西医科大学には医科大学でもトップクラスの345㎡という広い空間に、100種類以上の機器を保有するシミュレーションセンターがあります。内視鏡手術やロボット手術などの高度な技術を必要とする手術のトレーニングを行うとともに、より効果的なシミュレーション・トレーニング方法の開発も行っています。また、医学生に実際に近い手術手技を体験してもらうことで、スーパードクターと呼ばれるような外科医を目指す医学生が増えることも期待しています。

連絡先

〒573-1010 枚方市新町2丁目5番1号
関西医科大学 医学部 上部消化管外科学講座

関連

医学部 上部消化管外科学講座
大学院医学研究科 医学専攻 上部消化管外科学

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