MENU

学部・大学院

看護学教育領域

他者の主体的学びを支え、相互成長し続ける『看護学教育』

■領域概要

 看護は、一人ひとり違う「その人」に対して、専門職であり一人の人である「私」は働きかける営みです。患者さんには、それぞれの考え方、価値観があります。いろいろな角度からその人を見つめると、その人の世界、その人の真実が見えてきます。そこから、その人に向けた(個別性を重視した)看護が展開できます。

 看護教育も同様です。一人ひとりの学生の個を見つめながら、学生の真実に近づき、働きかけます。そこから、学生の看護専門職として価値観や、人を成長に導く教育者としての基盤を形成することを支援します。

 本学の看護学教育の対象は、看護学生、大学院生はもちろん、専門職として学び成長を続ける看護師、それを支える看護教育に関わる人々、教育計画や運営を担う看護管理者、患者さんや地域の人々に教育的関りを担う人々も含まれます。看護教育に求められる知識やスキルは、対象とのコミュニケーションなどの対人関係スキルに始まり、教育の対象の主体的学びを導くリフレクション、教育に関わる人々と協働する力、具体的な教育活動や研修の設計と開発、運営方法、評価と多岐にわたります。「学びと成長を支える」ことに向き合う教育・研究を通して、相互成長にむかう喜びを感じてみませんか。

■大学院における学び

大学院博士前期課程(修士)

 博士前期課程では、看護学生教育、患者教育、看護師教育と対象が違っても、学習者を尊重し「学習者中心型教授(Learner-centered teaching)」により学習者自らの省察と主体性を支援する教育方法で臨床看護教育者を育成するカリキュラムを提供しています。現在、2名の学生が学んでいます。

 また、2022年より研究者コースを開設しました。実践上の問題意識を丁寧に見つめなおし、研究として取り組んでいきます。既知の理論や先行研究による知見とともに検討しながら、看護教育の現場がよりよいものになるように研究の基礎的な力を修得します。現在、1名の学生が在籍しています。

 

≪臨床看護教育者(Clinical Nurse Educator:CNE)≫

 臨床看護教育者(CNE)とは、看護実践の場において優れた教育的機能を発揮することが出来る教育者を意味します。CNEは、看護界での認知度が発展途上にあり、養成課程も限られているため、まだ認定の制度は整っていず、今後構築していくことになります。

 大学院博士前期課程臨床看護教育者コースでは、このCNEを標榜した学びを提供します。

 多くの病院では、プリセプターや臨床実習指導者のように、教育担当の看護師がいますが、既存の知識や経験で対応できなくて困っているという声をよく聞きます。現在の若者が打たれ弱く叱られるとすぐに諦めて辞めてしまったり、あるいはパワーハラスメントで訴える行動に出たりする傾向にあることも教育担当者を疲弊させている原因です。真面目に一生懸命取り組む人ほど、教育が思い通りにいかないと自分を責めてバーンアウトしたり、あるいは相手を責めてパワーハラスメントにつながったりします。

 学習者と教育担当者双方の権利を守り、看護現場における教育的環境を整え、看護現場を教育者と学習者の相互成長の場とするためにも、教育者の教育能力アップは喫緊の課題と言えます。そのため、CNEを養成し適切に配置できることが必要だと考えています。

 CNEには、看護学生教育、患者教育、看護師教育の教育実践の場で教育するための実践的な理論を身につけ実践する優れた能力のみならず、教育システムを企画・運営する能力を身につけることを目指しています。学習者のレディネスに合った教育的アプローチが出来るためには、理論学習とともに実践の積み重ねとその省察が必要です。

【大学院生コメント(博士前期課程)】

  • 入学前は大学院での授業についていけるのか不安もありましたが、温かい先生方との関わりや先輩、同級生との語りの中で、今まで見えなかった世界を知ることができました。臨床を一歩離れてみることで、新しい視野がどんどん広がっています。勇気を出して、入学して良かったと日々実感しています。
  • 臨床を離れて学ぶことは、今まで見えなかったものを見る、考える、経験する貴重な時間です。まさに「学ぶ贅沢」!! 大学院での学びと出会いは、新しい自分と新たな看護が生まれることを実感しています。

【修了生 学位論文テーマ(博士前期課程)】

  • 外来看護管理者の看護師育成におけるやりがい
  • 大学附属病院の新人看護師の自我状態とアサーティブネスとの関連
  • プリセプターが抱く指導困難感に対応するための介入研究 ~新人看護師の理解促進の試みを通して~
  • 熟練看護教師の臨地実習における学生とのかかわりの省察的実践
  • 臨地実習において受け持ち患者との関係に戸惑いを感じた看護学生への看護教員のかかわり
  • 大学における新人看護教員の実習教育に対する教師効力の実態
  • 臨地実習で実習指導者が看護教員に伝えない学生への指導内容とその理由

大学院博士後期課程(博士)

 現在、4名の学生が学んでいます。大学院博士後期課程では、看護学教育の範囲を広くとらえ、学生自身のこれまでの経験から立ち上がるテーマを見出していくことを大切にしています。

【大学院生コメント(博士後期課程)】

  • 看護実践経験でのモヤモヤをふり返り、研究の芽を出そうとしています。時には思考に溺れて思わぬところを漂っていたり、自分の経験が整理できて目の前が広がったり…。生涯で最後の(?)学生生活を楽しんでいます(学生)。

■看護学部における学び

 4年生の看護教育の授業では、自らが学んでいる看護教育制度の歴史的変遷について学び、看護学を学ぶということはどういうことかを考えます。さらに看護学教育の現状と課題について理解し、自己のキャリアデザインを探究する姿勢を身につけることを目指します。

 また看護研究方法Ⅱでは、看護教育に限らず、学生の皆さんが探求したい教育に関するテーマについて、一連の研究方法プロセスを辿りながら取り組んでいけるように支援します。

【これまでに看護研究法Ⅱで取り組んだテーマ(看護学部卒業生)】

  • 手術を受け退院を控えた壮年期患者への関わり—不安や気がかりの表出のための支援に焦点を当ててー
  • 術前に不安、緊張を抱えた患者への関わりからみる関係構築の過程と看護 ~不安を抱えた患者の手術が中断された後の関わりを振り返って~
  • 人工呼吸器装着患者と看護師のコミュニケーションの困難さとその方略
  • 認知機能の低下した高齢者のセルフケア能力維持に向けた看護
  • 一般病棟に緊急入院した患者とその家族の思いとニーズ
  • スムーズなコミュニケーションを取ることが難しい患者との関わりで看護学生が行っている信頼関係構築のための過程
  • 看護学生自身が悲観的な発言であると捉えた患者に対する関わりとその人らしさを生かした看護

吉田和美教授

 臨床での看護師時代に出会った患者さん、上司や後輩、協働した他職種の方々から、たくさんの助けを頂いて充実した時間を過ごせたことがかけがえのない宝物になっています。また、学部教育では、ほんの数週間の実習で見違えるほどに成長する学部生に驚きとともに喜びを感じています。看護が展開される臨床の場には、想像を超えて人を成長させる力があることを実感しています。

 現在、臨床における看護教育の実践に関する研究、現任教育としての新人看護師育成やリーダーシップ・フォロワーシップ育成に関する研究、看護基礎教育の教授活動に関する研究を進めています。看護学生や看護職が、自らの価値を自覚し自分らしさをも大切にしながら、幸福な生活の基盤となる人々の健康に関与し、他者とともに相互成長する喜びを感じられるよう支援したいと思います。

*詳細は、researchmapをご覧ください。

太田祐子准教授

 特に関心をもっているテーマは、看護師・看護学生の成長についてです。なかでも看護職がどのような経験をして、それをどのように意味づけることで、自身の知識としていくのかに興味があります。

 看護学生が、大学に入り学び方を学びながら、看護に身を近づけていく、看護学生として人としても段々に育っていくのを見守り支援すること、その学生が卒業して国家試験に合格し、看護師としてたくましく一人前やそれ以上に育っていく姿を見せてもらえるのは、頼もしくうれしいことです。関西医科大学看護学部生は、確かな力を持っていることを感じています。その可能性が大きく開いていくことを楽しみにしています。

 看護師、特に現場の最前線にいるジェネラリスト(管理者でなく、専門看護師や認定看護師などのスペシャリストでない看護師)が仕事に自信とやりがいをもって働けるように支援したいと思っています。外的なキャリア(一般的な履歴等)だけでない「内的なキャリア」(経験により何を得てきたか、どのように意味づけしているか)を重要視しています。看護師や看護教員の語り合いを通したリフレクションと看護への意味づけ、およびその方法について、研究を進めています。

*詳細は、researchmapをご覧ください。

上山千恵子講師

 現在関心を持っているテーマは、潜在看護師の復職支援、入院患者の自殺が発生した際の看護スタッフへの支援についてです。看護学部、大学院に入学される学生の皆さんは、将来様々な場所で看護職として活躍されることと思います。時に感動し、時には辛い体験をしながらも、それでも看護職として色々な人に関わり、充実した看護師人生を歩んでいけますように、本学でその基盤となる学びができますように願っています。本学で、皆様と一緒に学べることを楽しみにしています。

*詳細は、researchmapをご覧ください。

領域紹介

・看護教育に関する事例検討会(リフレの会 in枚方)

 大学院生や教員有志、看護職たちに呼びかけ、看護教育に関する事例検討会を月1回のペースで行っています。 ここで話し合ったことは、他言無用。安全な環境づくりを互いに意識しながら、広い意味での看護教育(看護基礎教育・現任教育、その他なんでも)にかかわる事例を取り上げ、それについて多様なみかたを交換しながら、それぞれの考えを深めていきます。
 リフレクション・リフレイミング・リフレッシュ…、そんな願いを込めて「リフレの会in枚方」と名付けています。 どなたでも参加できますので、太田までお問い合わせください。
 
 

連絡先

■看護学部
〒573-1004 枚方市新町2-2-2
関西医科大学 看護学部
TEL 072-804-0101(代表)


■看護学研究科
〒573-1004 大阪府枚方市新町2-2-2
関西医科大学 大学院 看護学研究科
TEL 072-804-0205、072-804-0207(事務室直通)
E-mail nursing@hirakata.kmu.ac.jp (事務室代表)

ページの先頭へ