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学部・大学院

看護学教育領域

「当たり前」を問いなおすところから、教育のあり方を探る

■領域概要

・「当たり前」を問いなおし、枠を作り替えることで成長する。

 看護は、一人一人違う「その人」に対して、専門職であり一人の人である「私」が働きかける営みです。患者さんには、それぞれの考え方、価値観がある。いろいろな角度からその人を見つめると、その人の世界、その人の真実が見えてくる。そこから、その人に向けた(個別性を重視した)看護が展開できます。
 看護教育も然りです。一人一人の学生の個を見つめながら、学生の真実に近づき、働きかける。そこから、学生の看護や人間としての礎を築いてもらいたいと考えます。
 看護者も、看護教育者(看護教員、管理者、先輩…)も、一人一人違います。その人の考え方、個性があり、だからこそチームに多様な知恵が生まれる。
 患者さんに対して、学生に対して「当たり前」と思っていることを、もう一度、検討してみる。その職場、施設で「当たり前」とされていることを、少し引いて考えてみる。自分のありようをふり返ってみる(リフレクション)。
 「こうあるべき」という考え方を外して、改めて探求していくなかに、真の看護者・看護教育者の育ち・成長があると考えます。
 現在、大学院で学ぶ学生たちは、この殻を壊す苦労をしながら、新しい自己に出逢うべく、日々、励み、もがき、気づき、成長を続けています。

・看護学教育の対象

 看護学生、大学院生など学生はもちろん、看護師、看護管理者、看護教育者としての学び・成長の考え方とそれを支える教育のあり方、仕組みづくりを対象としています。さらに、患者・対象者に対する教育的関わりについても、対象としています。

・主な研究テーマ

  • ケアリングに関すること
    ケアリング文化の形成について、他大学とともに、取り組んでいます。

  • 経験型実習教育に関すること
    経験型実習教育のテーマでは、省察的実践家としての看護師の育成を目指し、学習者中心の支援方法を探求しています。

  • 患者教育に関すること
    患者教育のテーマでは、糖尿病患者を対象に、自己効力理論、エンパワメントアプローチ、ケアリング、成人教育学の理論を基盤にした「セルフマネジメント教育」の教育方法を検討しています。

  • 看護師の成長・キャリアに関すること
    看護学生が、そして看護師が就職してから、どのように成長してキャリアを歩んでいくのか、その支援について探求しています。

■大学院における学び

大学院博士前期課程(修士)
 博士前期課程では、看護学生教育、患者教育、看護師教育と教育の対象が違っても、学習者の人間性を尊重し、学習者との対話を基盤に置き、学習者が自らの経験を省察することで成長していくことを支援する教育方法論にこだわって臨床看護教育者を育成するカリキュラムを提供しています。現在、3名の学生が学んでいます。

≪臨床看護教育者(Clinical Nurse Educator:CNE)≫
 臨床看護教育者(CNE)とは、看護実践の場において優れた教育的機能を発揮することが出来る教育者を意味します。CNEは、看護界での認知度が発展途上にあり、養成課程も限られているため、まだ認定の制度は整っていず、今後構築していくことになります。
 大学院博士前期課程では、このCNEを標榜した学びを提供します。

 多くの病院では、プリセプターや臨床実習指導者のように、教育担当の看護師がいますが、既存の知識や経験で対応できなくて困っているという声をよく聞きます。現在の若者が打たれ弱く叱られるとすぐに諦めて辞めてしまったり、あるいはパワーハラスメントで訴える行動に出たりする傾向にあることも教育担当者を疲弊させている原因です。真面目に一生懸命取り組む人ほど、教育が思い通りにいかないと自分を責めてバーンアウトしたり、あるいは相手を責めてパワーハラスメントにつながったりします。

 学習者と教育担当者双方の権利を守り、看護現場における教育的環境を整え、看護現場を教育者と学習者の相互成長の場とするためにも、教育者の教育能力アップは喫緊の課題と言えます。そのため、CNEを養成し適切に配置できることが必要だと考えています。

 CNEには、看護教育実践の場で有用な実践的な理論を身につけ実践する優れた能力のみならず、教育システムを企画・運営する能力を身につけることを目指しています。学習者のレディネスに合った教育的アプローチが出来るためには、理論学習とともに実践の積み重ねとその省察が必要です。

大学院博士後期課程(博士)
 大学院博士後期課程では、看護学教育の範囲を広くとらえ、学生自身のこれまでの経験から立ち上がるテーマを見出していくことを大切にしています。

【大学院生コメント】
 看護実践経験でのモヤモヤをふり返り、研究の芽を出そうとしています。時には思考に溺れて思わぬところを漂っていたり、自分の経験が整理できて目の前が広がったり…。生涯で最後の(?)学生生活を楽しんでいます(学生)。

安酸史子教授

 学部教育は4年次の選択科目の看護教育を担当します。関西医科大学附属病院看護部の継続教育にも携わりますので、学生時代から卒業後までシームレスな看護学生のキャリア支援も担当したいと考えています。

 大学院生たちと、自分たちの看護実践や教育実践をリフレクションしたり、これからの看護教育や看護管理の在り方について熱くディスカッションするのは、とても楽しい時間です。

 主な研究の柱は、看護学生に対する経験型実習教育、慢性疾患患者(特に糖尿病患者)のセルフマネジメント支援、ケアリングサイクルの形成に関する研究の3つです。学生、看護教師、看護師、患者と対象は異なっても、看護教育の方法論にこだわって、臨床看護教育学を構築していきたいと考えています。

太田祐子准教授

 特に関心をもっているテーマは、看護師・看護学生の成長についてです。なかでも看護職がどのような経験をして、それをどのように意味づけることで、自身の知識としていくのかに興味があります。

 看護学生が、大学に入り学び方を学びながら、看護にコミットメントしていく、すなわち看護学生として人としても段々に育っていくのを見守り支援すること、その学生が卒業して国家試験に合格し、看護師としてたくましく一人前やそれ以上に育っていく姿を見せてもらえるのは、頼もしくうれしいことです。関西医科大学看護学部生は、確かな力を持っていることを感じています。その可能性が大きく開いていくことを楽しみにしています。

 看護師、特に現場の最前線にいるジェネラリスト(管理者でなく、専門看護師や認定看護師などのスペシャリストでない看護師)が仕事に自信とやりがいをもって働けるように支援したいと思っています。外的なキャリア(一般的な履歴等)だけでない「内的なキャリア」(経験により何を得てきたか、どのように意味づけしているか)を重要視しています。看護師や看護教員の語り合いを通したリフレクションと看護への意味づけ、およびその方法について、研究を進めています。

安酸史子教授著作(1)

安酸史子教授著作(2)

安酸史子教授著作(3)

領域紹介

・教育者の役割

 「やってみせ、言ってきかせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」 (山本五十六)
 教育者の役割は、最終的には学習者が自立して課題を解決できるように導くことです。
学習者に対して何をどのように教授すればよいか判断し、学習者に教育的関わりを行うことだと思います。そのために教育者は、モデルを示す、説明する、支持する、助言する、励ます、誉める、聴く、支持する、認める、委任するなど、様々な教育的関わりを行います。学習者の状況に合わせて教育者としての役割を取る必要があります。
 看護の教育的役割は、看護学生に対しては、看護学生が自立して目の前の課題を解決できる力を身につけるように支援することです。患者に対しては、患者がセルフマネジメント力を身につけるように支援することだと考えています。

・看護学教育領域で大切にしているキーワード

 私たち看護学教育領域で大切にしている、深く学ぼうとしているキーワードには次のものがあります。

  • ケアリング:
    ケアする相手に対して、心に価値を置いた、愛に満ちた優しさ、思いやり、平静といったものを実践すること。
    看護教師-看護学生間で、教師が学生に対してケアリング的に関ることができれば、学生はそれをモデルにして、患者に対するケアリングを学ぶことができる。私たちは、この循環を「ケアリング・サイクル」と呼んで大切にしています。
  • リフレクション(省察):
    自己のあり方や実践を深くふり返ること。
    リフレクションをするためには、経験を他者と語り合うことで自分を鏡に映し見つめなおす作業が必要です。前提として、他者への信頼や、自分への脅かしを感じないことが必要になります。こうした環境を整えながら、リフレクションをする力を養いたいと思っています。
  • アンドラゴジー(成人教育学):
    上から目線で子ども扱いせず、学生にきちんとおとなとして接し、関わること。
    知識を上から与えるのではなく、学ぶ人のこれまでの経験を尊重する。その経験の中で感じたところから、学びが始まり、学びを深められると考えます。その学び方について探求しています。
  • セルフマネジメント:
    患者さんが自分でマネジメントしていく、病気と生活の折り合いをつけて生きていくこと。
    看護者や支援する者は、溺れる前に危険な場所に近づかせない、先回りして守る、という立場ではなく、セルフマネジメントができるよう、医療者はコーチの役割をするという感覚が大事だと考えています。
  • セルフ・エフィカシー(自己効力):
    何らかの課題を達成するために必要とされる行動が効果的であるという信念を持ち、実際に自分がその行動を実施することができるという確信あるいは自信のこと
    自己効力は、人の行動を決定する先行要因のひとつと言われています。患者さんや学生、看護師たちが、自己効力を高めることができるような支援のあり方を探求しています。

・看護教育に関する事例検討会(リフレの会 in枚方)

 大学院生や教員有志、看護職たちに呼びかけ、看護教育に関する
事例検討会を月1回のペースで行っています。 ここで話し合った
ことは、他言無用。安全な環境づくりを互いに意識しながら、広い
意味での看護教育(看護基礎教育・現任教育、その他なんでも対象
とします)にかかわる事例を取り上げ、それについて多様なみかた
を交換しながら、それぞれの考えを深めていきます。
 リフレクション・リフレイミング・リフレッシュ…、そんな願い
を込めて「リフレの会in枚方」と名付けています。 どなたでも参加
できますので、お問い合わせください。

連絡先

■看護学部
〒573-1004 枚方市新町2-2-2
関西医科大学 看護学部
TEL 072-804-0101(代表)


■看護学研究科
〒573-1004 大阪府枚方市新町2-2-2
関西医科大学 大学院 看護学研究科
TEL 072-804-0205、072-804-0207(事務室直通)
E-mail nursing@hirakata.kmu.ac.jp (事務室代表)

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