法医学
法医学とは法律上問題となる(裁判等で争点となる)医学的事項に関して助言を与え法律の公正な運用を助けることを使命とする医学の一分野で、法治国家に不可欠な学問領域です。そこで法医学講座では、大阪府下の大学周辺地域の司法解剖等を大阪府警や大阪地方検察庁の依頼で請け負っており、死因や受傷状況、凶器の種類、死亡推定時刻や受傷推定時刻、個人識別のための医学的特徴の鑑定などを実施しています。
そのような鑑定業務に関連する法医学の内容について、本学の4学年で講義を行っています。
法医学鑑定の教育・研究・実務を通して社会に貢献する
法医学講座では司法解剖などの鑑定を司法当局より依頼されています。大阪府下の9警察署の管轄区域内の事件を担当し、現在年間100件余りの解剖を実施し、さらに件数は漸増傾向にあります。法医学講座では各種鑑定法の開発や検討を研究対象としています。法遺伝学分野ではDNA型鑑定法の研究を継続しており、次世代シークエンサーを導入して精力的に研究を進めています。法医中毒学分野では液体クロマトグラフ・トリプル四重極型質量分析計を導入し、薬毒物の微量高感度分析を行い、中毒死の死因判定に役立てています。社会から死亡事故・事件がなくならない限り、法医学の教育や研究は法治国家に不可欠です。大学の社会貢献の一環としても、法医学講座の継続・発展が望まれています。
現在の研究テーマ
戦没者遺骨からのDNA抽出方法の比較
厚生労働省戦没者遺骨DNA鑑定事業において、DNA抽出は最も重要な工程であるため、抽出方法の比較検討を行っています。問題は「骨粉」とするか、「骨片」のまま抽出するかの違いなのです。DNA抽出量には明確な差はありませんでしたが、STR解析では「骨片」の方がやや成績が良好でした。骨試料の状態に依存するものの、シビアな骨試料には「骨片」のまま抽出するのが有効と考えられました。
大規模災害時のDNA鑑定における血縁者スクリーニングソフトウェアの開発
大規模災害時には、DNA鑑定による身元特定が求められます。しかし、多数の遺体・遺族から該当する血縁者を探し出すには、多大な時間を要します。また、遺体の試料の経年劣化により、DNA型が十分に検出されないこともあります。これらの問題を解決するために、血縁者をスクリーニングする専用ソフトウェアの開発および検証を継続しています。
DNA鑑定における微量・混合資料の統計学的解析手法の開発
DNA鑑定で扱う資料は一般の科学実験とは異なり、DNAが極微量である場合や、複数人のDNAが混合した資料である場合が多くあります。このため、資料のDNAが事件の被疑者や被害者などに由来するか否かがしばしば問題となります。この問題を解決するため、DNA鑑定の検査結果を統計学的に解析するための専用ソフトウェアの開発および検証を継続しています。
IVeX-screenの法医学的応用に関する研究
イムノアッセイは欠くことのできない薬毒物迅速検査法の1つですが、原理上、目的物以外の薬物に対しても交差反応を示すことが避けられません。交差反応性情報を蓄積することにより、幅広い薬物を検出することが可能となり、スクリーニング検査としての有用性が高まることから、交差反応性データベースを構築しています。また、対象試料の幅を広げるため、除タンパク処理などの前処理法についても検討を継続しています。
薬物中毒マーカーとしてのmicroRNAの応用
薬物の血中濃度は、薬物中毒死の重要な判断材料です。しかし、致死濃度でなかったとしても複数の薬物が検出された場合には、薬物相互作用も考慮しなければなりません。分子レベルでの重症度評価が可能になれば、死因を判断する重要な指標となります。死後も安定性が高いmicroRNAを新たな薬物中毒の分子マーカーとして応用すべく、単独投与と併用投与によって変動するmicroRNAの特定を目指しています。
研究業績
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