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学部・大学院

耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

「立ち向かうのは、アレルギー・老化・がん」

医学研究は今、新しい局面に来ています。結核(戦前の死因の1位)などの感染症を減らして医療水準を上げることに成功したものの、今度はアレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患(日本の人口の半分が罹患)の増加を許しています。ヒトの寿命は延びたものの(28%が65歳以上)、いまだ老人性難聴・歯周病などの加齢疾患を制御する方策に乏しく、急増する頭頸部がんを含めたがん疾患も(死因の第1位へ)、我々はこれを抑制できずにいます。そこで耳鼻咽喉科・頭頸部外科(耳鼻咽喉科・頭頸部外科・歯科口腔外科)学講座では、これらアレルギー、老化、がんのメカニズムを解析し予防や治療につなげる研究を、老化マウスや遺伝子改変マウス、ヒトサンプルを用いて行っています。今後さらに研究内容を広げていく予定です。学舎8階の研究室は、毎日熱気で溢れています。

現在の研究テーマ

現在の研究テーマ

老人性難聴とリンパ球免疫

 老人性難聴は75歳以上の高齢者の半数に認められますが、その予防や治療法はいまだに確立されていません。そこで、我々は、難聴を起こすSAMP1マウスを用いて研究をおこなっています。このマウスに胸腺を移植したり、若年マウスCD4+ T リンパ球を移入したりすることによって、老人性難聴の予防、さらに治療に有効である事を明らかにしてきました。さらに、①CD4+ T リンパ球 の うち、IL-1R2+ CD4+ T cel(l T1R2)と 制御性T細胞(Treg)の両細胞集団が加齢により増加すること、②T1R2およびTreg以外の細胞(ナイーブCD4+ T リンパ球)の増加で免疫能が改善し、難聴の予防と治療に寄与することを明らかにしてきました。このことから、T1R2およびTregは、加齢による蝸牛萎縮や難聴の促進に関与していると考えています。つまり、これらの細胞を減少させれば、難聴のほか加齢自身も予防する可能性が考えられるため、研究を推進しています。

好酸球研究

好酸球由来顆粒タンパクは、強力な組織傷害作用を有しておりアレルギー性気道炎症において非常に重要な役割を果たしています。そこで、気道炎症における好酸球の機能的役割を解明するために好酸球増多マウスや好酸球欠損マウスを用いた検討を行っています。好酸球のみ緑色に発光するマウスを世界で初めて開発したり(特許申請中)、ヒトiPS細胞から好酸球を誘導したりする研究も行っています。また、ヒトの組織好酸球分離法を開発し、組織内での好酸球の活性化機序の解明も明らかにしています。さらに、組織内の好酸球には、新しいサブタイプが存在することを発見しており、一流雑誌への投稿準備をしています。また、国内だけでなく海外(パスツール研究所)の研究施設と共同研究を行っており、希望があれば留学も可能です。

上・下気道

気道炎症は鼻・副鼻腔から気管支・肺まで広範囲に拡がっているケースが多く、病態解明から治療戦略までを包括的に考える必要があります。その中で、難治性の好酸球性気道炎症である気管支喘息を合併する好酸球性副鼻腔炎(ECRS)に対する新しい治療方法「微粒子吸入ステロイド経鼻呼出療法」を軸に臨床研究および基礎研究を進めています。主なテーマは、①各種吸入薬による臨床効果の検証、②炎症局所への薬剤送達率の解析、③炎症局所におけるステロイド感受性とそのメカニズムの解明、④炎症局所への好酸球遊走と活性化におけるMIP-1・の役割になります。重症タイプの喘息合併ECRSではステロイド抵抗性を呈し、ステロイド受容体(GR)の核内移行能を制御するホスファターゼ(PP2AやPTP-RR)発現の低下がその一因となっていること、好酸球の存在がホスファターゼ発現低下に関与していることがわかってきました。

唾液腺がんと発癌遺伝子

唾液腺がんは手術以外に確立された治療法がなく、長年新しい治療法の開発が望まれています。しかし、唾液腺がんの組織は非常に多彩であり、他のがん腫に比較し研究が遅れています。そこで我々は唾液腺がんの病因解明および新しい治療法の開発をするために遺伝子変異マウスを用いた基礎研究やヒト唾液腺腫瘍の遺伝子解析をおこなっています。特にヒト唾液腺腫瘍には、様々な組織が混在しているため、組織標本から正確にサンプルを採取する必要があります。そこでレーザーキャプチャーマイクロダイセクション法を用いて正常組織、腺腫、がん腫を採取し、次世代シークエンサによる遺伝子解析を行っております。さらに、H30年度は唾液腺切除標本の培養を新たに開始し、良性腫瘍からがんに至るまでのメカニズム解明にも取り組んでいます。関西医大耳鼻咽喉科・頭頸部外科の伝統とも言える唾液腺腫瘍の攻略をテーマに、当講座から世界に発信していきたいと考えております。

歯周病とケモカイン

歯周病の病態制御を目的に、CX3CR1シグナリングに着目した研究をおこなっています。ヒト由来歯肉線維芽細胞をサイトカインで刺激するとCX3CR1のリガンドであるフラクタルキン(FKN)の産生性が変動する知見を得ています。この研究により、歯周病の新たな病態メカニズムの一旦が解明されるだけでなく、新たな治療標的分子となる可能性があります。また、動物実験では、口腔内アレルギー症候群(OAS)などの即時型(Ⅰ型)アレルギーと歯科用金属ニッケル(Ni)との関係についての研究を行っています。OASなどのI型アレルギーに口腔内Niが関与することが明らかになると、全く新しい観点から口腔内の歯科用金属の使用を振り返る契機となることが予想されます。一方、臨床研究では、周術期管理の一環として顎骨壊死における病態、治療法、予防についての研究を行っています。

連絡先

〒573-1010 枚方市新町二丁目5番1号
関西医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
電話 教授室 072-804-2767
研究室 072-804-2462
FAX 072-804-2069

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医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
大学院医学研究科 医科学専攻 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

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