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学部・大学院

麻酔科学

多角的な臨床研究・基礎研究により患者管理技術のさらなる向上を目指す

 患者を眠らせて外科手術の遂行を可能にするという目的で生まれた麻酔という医療行為は、程なく様々な経験や研究の積み重ねにより医学の1分野として急速に発展しました。麻酔の3要素である鎮静・鎮痛・筋弛緩を駆使し、各種モニタリングで全身状態を把握した上で適切な管理を行って周術期の患者さんの安全を担保するいわゆる手術麻酔管理学に加え、麻酔管理技術を重症患者管理に応用することにより集中治療医学が、また局所麻酔法を疼痛の治療に応用することにより疼痛治療医学(ペインクリニック)が各々派生しました。これらが基礎科学の進歩や工学技術の発展などにより日々新しい進歩を遂げ、現在の麻酔科学の主柱となっています。麻酔科学講座ではこういった各領域の発展に寄与するため多角的な臨床研究・基礎研究に取り組み、患者管理技術のさらなる向上を目指しています。

現在の研究テーマ

周術期の血小板・血液凝固に関する研究

 血小板は止血凝固系の本来の役割以外に、免疫系及び炎症系にも関与していることが知られています。特に、血小板が活性化される事で血小板から放出される僅か1uM以下大のマイクロパーティクルは1967年に"Platelet Dust(血小板のゴミ)” として初めて報告されましたが、最近の研究で他の血球や血管内皮細胞との相互作用により、炎症増悪病態の重要な要因となっていることが明らかになりました。当講座では心臓手術における人工心肺の使用など、周術期の各種のストレスが血小板由来マイクロパーティクル量および炎症反応に与える影響や、血小板を対象とした新しい治療法についての臨床・基礎研究を推進しています。

周術期の病態変化に関与するmicro RNAの研究

 ヒトの30億個の塩基配列全てを解析するヒトゲノムプロジェクトの結果、ゲノムのうち遺伝子としてタンパク質をつくるコード領域はわずか2~3%で、大部分はタンパク質をつくらない非コード領域であることがわかりました。近年、細胞内RNAの網羅的解析が行われ、非コード領域蛋白をコードしないDNA領域からも大量のRNAが生成されていることが明らかになりました。このタンパク質をコードしないRNAはノンコーディングRNAと呼ばれ、高等生物の複雑性の秘密を握る鍵とされています。その中でも、21-24塩基程度のmicroRNAが遺伝子の発現・タンパク質の合成に干渉し、細胞増殖・アポトーシス・代謝等に深く関与することが報告されています。私たちは周術期に発生する種々の病態において特異的に発現するmicroRNAを同定し、その機能を明らかにすることにより、今までタンパク質の発現変化で説明が出来なかった種々の病態の解明を目指しています。

Vector Flow Mappingによる心臓血管外科手術前後の心腔内血流とenergy loss(エネルギー損失)の評価

 Vector Flow Mappingは新しい画像診断技術で、通常行われる経食道心エコーや経胸壁心エコーの画像を解析して未だ解明されていない心腔内血流や渦流、energyloss(エネルギー損失)を評価する事が出来ます。心臓血管外科手術の前後Vector Flow Mappingを用いた評価を行う事によりその有用性を明らかにするのみならず、心臓血管外科手術の適応や手術結果判定について新しい知見を得るための臨床研究を推進しています。

鎮静レベルでの脳波変化の解明と鎮静モニターの開発

 麻酔中には脳波の振幅は覚醒時よりも大きくなること、筋弛緩薬により筋電図(EMG)の混入が抑制されることなどからシグナル/ノイズ比(S/N比)の高い脳波信号が得やすく,脳波による麻酔効果判定は比較的容易になってきました。一方、集中治療室での鎮静や検査・処置時の鎮静の際には脳波にEMGが混入しやすく,また脳波の振幅も全身麻酔中と比較して小さくなるためS/N比は著しく低下し脳波信号から鎮静度を評価することが困難でした。私たちは多チャンネルの信号の下に隠された独立成分を統計学的に算出する方法としての独立成分分(ICA;independent component analysis)を脳波に応用することにより、多チャンネル脳波から得られた独立成分のうちノイズの成分のみを除去して再構築し、鎮静時の脳波変化を詳細に検討できるモニターの開発に取り組んでいます。現在使用されている麻酔モニターは前頭導出の脳波のみを用いていますが,多チャンネル脳波では前頭導出だけでなく頭頂や後頭導出の脳波も同時計測することができるため、鎮静や覚醒のレベルについてこれまでよりも精度の高いモニターとすることができると考えています。

その他

 臨床研究としては臨床統計学を用いた患者予後に対する各種因子の影響の検討(分娩・産褥期凝固障害における濃縮フィブリノゲン製剤使用患者の入院経過に関する調査検討、大動脈弁狭窄症の大動脈弁置換術と経カテーテル的大動脈弁置換術におけるHospital Volume-Outcome研究、敗血症における予後に関連する診療プロセスの検討、開腹手術と比較した腹腔鏡下肝臓切除術または膵臓切除術における退院時転帰に及ぼす要因の検討、傾向スコア分析を用いた大動脈弁狭窄症の大動脈弁置換術と経カテーテル的大動脈弁置換術の退院時転帰についての疫学研究など)、周術期鎮痛における各種伝達麻酔の有用性の検討(超音波ガイド下側方アプローチ坐骨神経ブロックの有効性についての研究など)、基礎研究としては腫瘍免疫に対する麻酔薬の効果に関する研究、癌細胞に対する多種薬物併用療法の効果とそれに対する麻酔薬の影響に関する研究などを遂行しています。

連絡先

〒573-1010 枚方市新町二丁目5番1号
関西医科大学 麻酔科学講座
電話 教授室 072-804-2771
研究室 072-804-2684(ダイヤルイン)
FAX 072-804-2075

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