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学部・大学院

精神看護学領域

すべての人のメンタルヘルス支援を含む『精神保健看護』

■領域概要

 関西医科大学看護学部そして大学院の看護学研究科における精神看護学領域は、統合失調症やうつ病などの疾患を抱えた対象の看護を扱う狭義の精神科看護ではなく、すべての人のメンタルヘルス支援を含む『精神保健看護』という広義の領域を専門にしています。2023年4月現在、教授1名、准教授1名、講師1名、助教2名の5名体制です。
 

■大学院における学び

 博士前期課程では、将来、精神看護の専門看護師(CNS:Certified Nurse Specialist)になることを目指して2名(1年1名、2年1名)の院生が在籍しています。精神看護の中でも『リエゾン精神看護』を専門的に学ぶことができます。研究者コースには、産業保健師を目指す2名が看護学部から進学いたしました。博士後期課程は広域看護分野(精神看護学・地域看護学・在宅看護学)での複数教員による研究指導体制なので、探究したい研究課題に対応できます。博士後期課程では、4名(3年2名、2年2名)の院生が在籍しています。

■大学院生の研究紹介

博士前期課程修了生6名(高度実践看護師コース)
  • 「コロナ禍の生活状況の変化に伴う家族介護者の介護負担感が健康状態に及ぼす影響」
  • 「看護職が受ける患者暴力等の被害の実態とストレス反応との関連」
  • 「看護職が被る小惨事によるストレス反応とレジリエンス、ソーシャルサポートとの関連」
  • 「精神科看護師が認識した不適切行為をなくすための技術」
  • 「COVID-19パンデミック期における救急看護師が体験した惨事とそのストレス対処行動」
  • 「認知症治療病棟の看護師における身体拘束のジレンマと身体拘束回避のための治療的環境」

■大学院生からのメッセージ

  • 現代社会では精神不調や生きづらさを抱えた人が多く、精神看護専門看護師の社会に果たす役割も高まっています。大学院での学びは、看護実践を通して人々の幸福追求とメンタルヘルスを促進し社会を変える基盤になると信じています。CNSとして社会貢献できる日を目指し探究心をもって学びを深めていこうと思います。

    【博士前期課程2年生】

  • 入院している患者さんだけでなく、そこで働く看護師のメンタルヘルスについての取り組みも必要であると考えています。私は、同じ病棟で働く看護師たちにも何かできることはないかと考え、精神看護専門看護師を目指すようになりました。実践や研究するために、大学院で学ぶ決心をし、大学院受験合格後は定期的なゼミの参加や、大学院在学中のCNSを目指す先輩と相談する場を設けていただき、サポートにより、安心して学生生活を送ることができています。これからの学びを臨床の場に還元できるよう、意識して取り組んでいきたいと考えています。

    【博士前期課程1年生】

  • 私は、関西医科大学看護学部卒業後、大学院に進学しました。先生方には、学部生の頃から研究に関してたくさんの支援をしていただき、学会発表の機会を通して、日々学ぶことや新たな知識を知ることの楽しさを知りました。大学院では、さまざまな背景をもつ同級生や先輩方と関わることで新たな出会いと学びを得ることができると期待に胸を膨らませております。将来、産業保健師として事業場に従事する際に、ストレスマネジメントやメンタルヘルスに関する問題を解決するためのデータ分析ならびに研究能力を習得することを目的に大学院では勉学に励みたいと考えています。

    【博士前期課程1年生】

  • 私が大学院に進学した理由は、労働者に対するメンタルヘルスケアについて興味を持ち、精神看護に必要な知識をより深く学びたいと考えたためです。そのように考えたきっかけは、大学3年生の時に実施した産業保健に関する実習でした。学部生として得られる知識だけでなく、大学院で更に知識を深めていきたいと考え、卒業後、すぐに大学院で学ぶことを決めました。大学院では研究プロセスについて重点的に学び、基礎的能力を養うことで、将来的には産業保健師として活躍できるようになりたいと考えています。

    【博士前期課程1年生】

  • 私は、臨床の現場で患者及び家族へのメンタルヘルスケアの難しさを感じ、その経験からリエゾン看護に興味を持ち、精神看護専門看護師を目指し大学院へ進学しました。大学院では、様々な先生方から豊富な知識を学ぶことができ、自分自身の知識や視野の広がりを実感できました。学生自身の興味のある視点で学習が進められるようにサポートをしていただき、楽しく充実した毎日を過ごすことができました。また、様々な背景をもつ同級生と一緒に過ごし、とても良い刺激になりました。

    【博士前期課程修了生】

  • 私は、リエゾン精神看護専門看護師を目指し大学院に進学しました。身体疾患により精神的な問題を抱える方、精神疾患があり身体疾患の治療が必要になった方、共に働く看護師のメンタルヘルス等について、精神看護に必要な知識、技術を身につけたいと思ったことがきっかけです。先生方のご指導により、日々課題に取り組み学修を深めることができました。

    【博士前期課程修了生】

  • 入学当初は久しぶりの学生生活で不安でしたが、領域の先生方は、学生に合わせたサポートをしてくださり、同じ目標を持つ仲間たちと切磋琢磨しながら日々学習することができました。大学院の講義では、様々な領域の学生の臨床経験が織り交ぜられた発表に毎回刺激を受け、講師の先生の一言で事象の見え方が変わるという学びを体験しました。講義だけではなく、学部生の演習や、視覚教材の作成にも参加させていただくなど、貴重な経験をすることもできました。ここでしかできない学びがあります。

    【博士前期課程修了生】

■教員紹介

三木明子教授

 私自身、大学院生の時から同じ研究テーマを継続してきました。そのため、学生の関心のある研究テーマを大切にし、手厚く指導しています。研究テーマはシビアな内容ですが、領域の雰囲気は明るく楽しいです。精神看護学の実践や研究に興味のある方を、心よりお待ちしております。ぜひ本学で、一緒に学び、探究していきましょう。

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矢山壮准教授

 私の大学生活は看護学以外にも政治やファイナンシャルプランニングなどにも興味を持ち勉強しました。何事にも興味を持ち勉強することが必ず看護や研究に役立ちます。精神看護のみならず様々なことを一緒に学んでいきましょう。

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的場圭講師

 私は教育・研究以外にも、精神障害者のみならず、誰にとっても暮らしやすい街づくりを目指して活動している団体でも活動をしています。私以外にも精神看護学領域には、多様な経験と研究テーマを持った教員と院生がいます。精神科での看護に限らず、精神看護に関心のある方をお待ちしております。

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手嶌大喜助教

 「精神科は難しい」「よくわからない」。そう感じている方は少なくないと思います。私自身もよくわからないと感じる事は多いですが、疾患がその方の一つの特徴だと捉え、理解しようと思えるようになって楽しみが見えてきました。精神看護は楽しいんだと思えるように一緒に学んでいきましょう。

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吉田麻美助教

 私が看護を志したのは、病気や障害の有無にかかわらず、その人にとっての健康と充実した人生・生活を支える仕事が看護であると、ある本で読んでからです。それから、病院や職場、さまざまな場で、さまざまな方を対象とした看護を実践してきました。

 私は、職域のメンタルヘルスを研究テーマとしていますが、それ以外にも広く精神保健に関心をもって取り組んでいます。こころの健康問題は私たちの身近なところにあります。精神看護の視点から、どんなアプローチができるか、一緒に学び、考えていきませんか。

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■研究紹介

  • 三木明子

    職場における暴力・ハラスメントをなくすことを目指し、そこで働く人々のメンタルヘルス支援につながるための研究を実施しています。

    • 「医療・在宅現場の暴力・ハラスメント対策を促進するためのツール開発」(研究代表者:三木明子) 基盤研究(C)(令和5年度~7年度)
    • 「職場における暴力・ハラスメントをなくすことを目指し、そこで働く人々のメンタルヘルス支援につながるための研究を実施しています。 「訪問看護師・介護員における暴力への対応力向上のためのトレーニングプログラムの開発」(研究代表者:三木明子、研究分担者:的場圭、他) 基盤研究(C)(平成31年度~令和4年度)
    • 「訪問看護における暴力防止のためのe-learningによる教育プログラム開発」(研究代表者:武ユカリ、研究分担者:三木明子) 基盤研究(C)(平成31年度~令和5年度)
    • 「看護職等が受ける暴力・ハラスメントに対する実態調査と対応策検討に向けた研究」(研究代表者:三木明子、研究分担者:矢山壮、的場圭、他) 令和元年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)
    • 「産業看護職の基礎教育のためのe-learningによる現任教育プログラムの開発」(研究代表者:畑中純子、研究分担者:三木明子、他) 基盤研究(C)(平成31年度~令和3年度)
    • 「小児医療現場で発生する患者・家族の暴力への対応力強化プログラムの開発と効果の検証」(研究代表者:涌水理恵、研究分担者:三木明子、他) 挑戦的萌芽研究(平成30年度~令和2年度)
    • 「訪問看護利用者、家族による暴力の危険予知訓練プログラム構築と実施効果の検討」(研究代表者:武ユカリ、研究分担者:三木明子) 基盤研究(C)(平成29年度~令和2年度)
    • 「在宅ケアを受ける患者・家族からの暴力・ハラスメント防止方策の構築」(研究代表者:三木明子) 基盤研究(C)(平成28年度~30年度)
    • 「暴力・虐待被害者に対する司法看護介入スキル向上のためのプログラム開発」(研究代表者:友田尋子、研究分担者:三木明子、他) 挑戦的萌芽研究(平成28年度~30年度)
    • 「病院における患者・家族の暴力に対する医療安全力を高める体制の醸成」(研究代表者:三木明子) 基盤研究(C)(平成25年度~27年度)
    • 「日本の学部・大学院教育における新たな司法看護教育体系の創造」(研究代表者:日下修一、研究分担者:三木明子、他) 挑戦的萌芽研究(平成25年度~27年度)
    • 「東アジアにおける惨事ストレスに関する総合的研究」(研究代表者:松井豊、研究分担者:三木明子、他) 基盤研究A(平成22年度~25年度)
    • 「惨事ストレスを被った看護職員に対する危機後の支援方法の構築」(研究代表者:三木明子)基盤研究(C)(平成22年度~24年度)
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  • 矢山壮
    • Wellness Recovery Action Plan (WRAP)の研究
      WRAPとは元気回復行動プランと呼ばれています。毎日健康や元気でいるために、日頃自分が出来る工夫を上手に使いこなすタイミングを教えてくれるシステムです。精神障害の有無にかかわらず、どんな人にも役立つものです。WRAPについて様々な取り組みをしています。また、WRAPを取り入れた訪問看護をおこなっている訪問看護ステーションと様々な取り組みもおこなっています。
      「精神疾患患者のリカバリーを促進するWRAPプランの共有データベースの開発」(研究代表者:矢山壮)若手研究(B)(平成29年度~令和2年度)
      「看護師のメンタルヘルスケアのためのWRAP有用性の検証」(研究代表者:矢山壮、研究分担者:的場圭、他)基盤研究(C)(令和3年度~6年度)
    • 精神科病院における患者から看護師への暴力防止の研究
      暴力を受けた際に記載する報告書から暴力発生状況を分析し、臨床の看護師へ分析結果をフィードバックすることで、臨床の看護師とともに暴力予防策を検討しています。
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  • 的場圭
    • 精神障がいのある人へのリカバリー支援の研究
      精神障がいのある人への支援では、症状や障がいの有無に関わらずその人らしく生きていくことを支援するというリカバリーモデルが広がりつつあります。現在,リカバリーの考え方をもとに支援を行っている専門職の方々の関わりからリカバリー志向の看護について検討しています。
    • 精神障害者への不適切行為防止のための研究
      医療現場では、患者や家族から医療従事者への暴力だけでなく、医療従事者による患者への不適切行為、虐待も存在しています。しかし、入院医療機関における患者への不適切行為、虐待の問題はあまり調査されてきませんでした。そこで、現在、我々は精神科病院における不適切行為、虐待の実態を調査し、防止するための指針の構築を目指しています。
      「精神科病院の看護職員による入院患者への不適切行為・虐待を防止するための指針の構築」(研究代表者:的場圭、研究分担者:三木明子、矢山壮)基盤研究C(令和3年度~5年度)
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  • 手嶌大喜
    • 精神科訪問看護実践の質を向上させるための研究
      精神科訪問看護を行っている訪問看護ステーションの方々と協力し、研修会などを通して精神科訪問看護実践の質を向上させるために必要な支援や教育内容について検討しました。
      「地方都市における精神科訪問看護の質向上に向けた教育プログラムの開発」(研究代表者:梅原敏行、研究分担者:手嶌大喜、他)在宅医療助成勇美記念財団「在宅医療研究への助成」2020年度(後期)一般公募(令和2年度~3年度)
    • 看護学実習におけるメンタリング活用の研究
      看護学教育においても近年注目されている、メンタリングという人材育成法についての研究を行っています。臨床実習において、看護教員が看護学生に対して効果的にメンタリングを行うための要因について検討しています。
      「日本語版MCIを用いた臨地実習指導における看護教員のメンタリング能力の実態」(研究代表者:手嶌大喜、研究分担者:矢山壮、他)私立看護系大学協会若手研究助成(令和3年度~4年度)
    • 訪問看護事業所における暴力・ハラスメントのリスクマネジメントに関する研究
      病院という環境とは違い、在宅医療現場では1人で訪問し医療を提供することがほとんどで、そこには様々な暴力・ハラスメントのリスクが存在しています。それらを未然に防ぎ、利用者も医療者も安心・安全に在宅医療が受けられるような体制づくりについて検討し、運営していくことを目指しています。
      「訪問看護事業所間協同による暴力・ハラスメントのリスクマネジメント体制の構築」(研究代表者:手嶌大喜、研究分担者:三木明子、矢山壮、的場圭)基盤研究(C)(令和4年度~6年度)
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  • 吉田麻美
    • 職域のメンタルヘルスに関する研究:プレゼンティーズムに関する研究
      職域のメンタルヘルス支援は、多職種と連携し、一次予防(未然防止)・二次予防(早期発見・適切な対応)・三次予防(職場復帰支援)のアプローチを個人と組織に働きかけながら、実践します。これまで、医療現場で働く看護職のプレゼンティーズムに関する研究を行ってきました。このプレゼンティーズムに着目し、心身ともに良好な状態で働き、豊かな人生を送るための支援について検討していきます。
    • 産業看護職のキャリア形成に関する研究
      病院看護職からの“転職”というキャリア・トランジションをはかった産業看護職における、これまでのキャリアとこれからの働き方の展望を踏まえたキャリア形成における意味を明らかにすることで、キャリア選択の多様性を示すとともに、転職をした看護職の支援について検討します。 「転職した産業看護職が直面する困難とキャリア形成における意味」(研究代表者:吉田麻美、研究分担者:三木明子、森田理江)2023(令和5)年度福田笑子研究助成基金(日本産業看護学会)

■研究の成果物・書籍など

「看護職員の惨事ストレスとケア-災害・暴力から心を守る-」三木明子・矢山壮(執筆者)朝倉書店(2020年10月発行)

「フォレンジック看護ハンドブック-法と医療の領域で協働する看護実践-」三木明子(訳)福村出版(2020年9月発行)

「訪問看護・介護事業所必携!暴力・ハラスメントの予防と対応-スタッフが安心・安全に働くために-」三木明子(監修・著)メディカ出版(2019年3月発行)

「増補新訂 医療機関における産業保健活動ハンドブック」三木明子(執筆者)産業医学振興財団(2019年3月発行)

「ガマンしない、させない!院内暴力対策「これだけは」」三木明子(編集・著)メディカ出版(2017年7月発行)

連絡先

■看護学部
〒573-1004 枚方市新町2-2-2
関西医科大学 看護学部
TEL 072-804-0101(代表)


■看護学研究科
〒573-1004 大阪府枚方市新町2-2-2
関西医科大学 大学院 看護学研究科
TEL 072-804-0205、072-804-0207(事務室直通)
E-mail nursing@hirakata.kmu.ac.jp (事務室代表)

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